生成AI全盛期に挑む新卒機械学習エンジニアの挑戦

株式会社 CAM は、エンタメ、ライフスタイル、ビジネスバラエティメディアを中心に、30 以上のサービスを展開しています。多くの事業ドメインで機械学習やデータを活用しており、事業の成長を加速させるための様々な工夫を行っております。生成 AI も例外ではなく、業務効率化をはじめサービスへの適用を進めています。
この社員インタビューでは、新卒2年目の機械学習エンジニアである田中宏樹が、どのようにして生成 AI の活用に取り組んでいったのか、また、機械学習エンジニアとしてのチャレンジや今後の展望について深掘りしていきます。

田中 宏樹

2023 年に株式会社サイバーエージェントに新卒入社。
株式会社 CAM の機械学習エンジニアとして、生成 AI を活用した業務効率化や仮説検証に従事。

生成AIによるCAM組織の変化

田中さんが入社する少し前に ChatGPT が公開され、生成 AI の急速な技術発展がありましたが、それに伴い組織として何か変化はありましたか?

田中:はい、新しく「AI Unit」という AI 専門チームが発足しました。
このチームは、社員の生成 AI リテラシー向上、生成 AI を活用した業務効率化やサービス適用を目的とするチームです。私はこのチームにアサインされることになったのですが、生成 AI にフルコミットすることは最先端の技術に触れられる絶好の機会であり、サービスにその技術を適用するといったチャレンジングな経験ができることに期待とワクワクを感じました。

新組織かつ、これまで前例のない技術の導入となると意思決定が課題にあがりそうですが、その点はいかがでしたか?

田中:むしろ意思決定は早かったように感じています!LLM は API 経由で利用するものが多いため実装のスピード感があるのに加え、開発のためのプレイグラウンドなども充実しており、試行錯誤の速度を上げることができました。特に、私たちのチームでは、PDCA サイクルを迅速に回すことを推奨しており、技術選定においても、選択肢を絞らずにさまざまなアプローチを検討して、最適なものを採用すべきという寛容な雰囲気がありました。例えば、ファインチューニングや RAG のような開発コストが高い手法も、効果的であれば選択肢として入れるべきであるという思想です。サービスの開発から運用まで一貫して行っている子会社ということもあり、技術的な意思決定の幅は非常に広いと実感しました。選択肢が多すぎて何が最善かを見極めるのが難しいと思うこともありましたが(笑)。

なるほど、生成 AI の技術発展のスピードと合わせて「とりあえずやってみよう」という意識が高いチームなんですね。

これまでチャレンジした業務とそれによる成長

これまで取り組んだプロジェクトの内容について具体的に教えてください。

田中:最初に取り組んだのは、「新R25」の記事を作成する社内ツールに「タイトル生成」と「校正機能」を導入するプロジェクトです。すでにある情報を基に文章生成を行うタスクは生成 AI の得意分野であるため、スピード感を持って開発することができました。
その後は、最新の AI 技術の動向調査として、音声文字起こしや画像認識などを行う AI ツールの調査を行いました。この成果は CAM のテックブログで「Managed AI を検証してみた。」シリーズとして公開していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
さまざまなプロジェクトの中で最も注力したのは、LLM を活用してテキストコンテンツの骨子を作成する補助ツールの開発です。テキストコンテンツ作成は、情報の精査や信憑性の確認、サービスに適した構成や表現を考える必要があるため、非常にコストがかかります。そんな制作コストに関しての負担を軽減させるために、骨組みを LLM で作成してからブラッシュアップすることを考えました。これにより、コストを大幅に削減できるのではないかという仮説のもと、このプロジェクトを進めました。

社内ツールへの機能追加、市場調査、アプリ開発と次第にスケールが大きくなっていったんですね。これらのプロジェクトを通じて、どのような技術やスキルが身につきましたか?

田中:開発を進める中で、サービス運営担当者と「その機能によって何を実現したいのか」について話す機会が多くありました。その結果、技術的な視点だけでなく、ビジネス的な価値を提供するためにはどうすべきかという視点を持つことも重要であると学びました。学生時代は主に研究やプログラミングをしていましたが、それは自分が考えたことを実現するための開発、つまり主観的な開発が中心でした。サービスに技術を適用させるという観点は、プロジェクトに参画して身についたスキルとして一番大きな収穫だったと思います。

なるほど、技術主体の開発ではなくサービスの価値に重きを置いた開発を意識するようになったと。

田中:はい、プロジェクトを開始した当初は、「生成 AI を活用した開発なのだから生成 AI を使わなくてはいけない」という意識が強くありました。しかし、生成 AI は業務効率やサービスの価値を高めるための手段の一つであり、生成 AI を使うことが目的ではないことに途中で気がつきました。
そして、新しい機能を導入する際には、その機能がどのようにビジネスに貢献するのかを明確にする必要があることと、ユーザー視点を考慮した開発を心がけることで、より使いやすいサービス提供ができることを学びました。

新卒一年目での挑戦

新卒一年目として特に難しかったこと、成長できたと思うポイントは何ですか?

田中:AI Unit は自走力が求められるチームだったので、初めは自ら課題を見つけてそれを解決するという一連の流れを自分で考えながら行うのが難しかったです。特に、「生成AI でサービスにインパクトを与える」という抽象的な目標の中で、具体的に何をするべきなのかを最初はずっと考えていました。

生成 AI の普及であれば活用事例の紹介などタスクとして分かりやすいですが、活用するとなると一気に難しくなりますよね。

田中:はい。AI で価値を出すというのは、単に AI を使ってみるとか、導入できたから OK、という簡単な話ではないので、サービスのインパクトを出すにはどうすればいいかを考える必要があるのだと実感しました。チームのサポートを受けながらではありますが、自分で考え行動する力を身につけることができるようになってきましたし、同時に、技術以外のスキルである「プロジェクトの進行管理」や「チームメンバーとのコミュニケーションスキル」が身につき、エンジニアとしての成長ができたと思っています。

これからについて

これからチャレンジしたいことや、今後のキャリアプランについて教えてください。

最新技術とサービスの融合が得意なエンジニアになりたいと考えています。最新技術を使えるだけでなく、それがサービスにどのようなインパクトを与えるかを常に意識し、その実現に向けて邁進していきたいです。
また、将来的には技術を理解しながらチームを牽引できるリーダー的存在として、多くのプロジェクトに挑戦していきたいと思います。そうなるための技術や経験がまだまだ足りていないので、優秀な先輩社員の背中を見ながら精進していきたいと思っています。

参考資料

  1. CAM Tech Blog「新卒機械学習エンジニアが生成 AI による新機能開発で得た知見と成長したポイント」
    https://cam-inc.co.jp/p/techblog/811887782921240576
  2. ChatGPT を活用したタイトル生成や記事校正ができる機能を新 R25 へ導入開始
    https://cam-inc.co.jp/p/news/803595258897106003